持続可能な滞在型観光にキャンピングカーを誘致する動き高まる

スペースアンソロジー

少子高齢化が加速し、既存の観光客は減少していく一方、多くの自治体では新たな人の流れを呼び込もうとする動きが高まっている。その中で、移動する拠点であるキャンピングカーが注目されている。
自分の車で観光地を巡り、駐車できる場所での車中泊が可能なキャンピングカーは、それを利用する側も、観光誘致を推進する側にもメリットがある。
日本RV協会(JRVA:ジャルバ)が調査した『キャンピングカー白書2023』によると、前年2022年のキャンピングカー販売総額は、対前年比120%の伸びとなり、過去最高の762億円超えを達成した。

※ 以下の動画は広島県三原市のAirPortCamp(車中泊イベント)の様子

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滞在型観光に遊休地の有効活用

2022年のキャンピングカー累計保有台数が過去最高の14万5,000台となった。DIYで自作したキャンピングカーの数を合わせるともっと多いだろう。キャンピングカーブームも一過性のものではなく、本格的に定着してきたと言って良い。

観光誘致側は、点在する観光地同士を結ぶためのインフラが整ってない自治体も多く、また、多くの観光客を呼び込めるほどの宿泊施設もないケースがある。
そこに、移動する拠点であるキャンピングカーを呼び込み、経済効果を上げていこうとする動きが高まってきている。

観光地へ行くための通過点となっている場所を、滞在型観光地にするための取り組みの一環としてもキャンピングカーの誘致は有効なのだ。
日帰り客より宿泊客が多くお金を落とすことを考えると、その経済効果は大きいはず。

滞在型観光では、バスツアーで複数の観光地を駆け足でめぐる周遊型観光とは異なり、一定期間地域に宿泊し、体験型レジャーなどを楽しんでもらうことにより、その地域の文化に触れ、ファンが生まれ、リピーターに育てられる可能性、長期滞在による経済波及効果などが期待できる。
また、移住の候補地探しのお試しにも利用してもらえるため、過疎化対策の一助となる可能性もある。

一方、利用する側からすると、時間など気にすることなく、好きな時に好きな所に移動して宿泊(車中泊)できる、そういった場所や施設が増えることはありがたい。

つまり、滞在型観光地化を目指す自治体と、キャンピングカーユーザーの双方にとって、車中泊スポットの増設にはメリットがある。

集客するホームページ制作

滞在型観光地化への課題

滞在型観光地化への取り組みにあたって、一部キャンピングカーユーザーのマナー問題などで、地域住民から反対の声も上がる。
なかむらも、道の駅の駐車場で、テーブルや椅子を出して宴会を始めだすキャンピングカーユーザーを見かけることがある。SNS上でもマナー違反の問題行動が取り上げられ、悲しい気持ちになることがしばしばだ。
キャンピングカーとアウトドアはかならずしもイコールではない。
そういった利用者マナーの問題は、一部であったとしても起こり得る。悲しいかな、マナーの問題は「ある」として取り組んでいくしかなく、もちろんそれには住民の理解が必要だ。
また、人間は、変化を好ましく思わないという心理が働くものでもある。

・利用者マナーの問題
・地域住民の理解

『勝手にごみを捨てられたらどうするんだ?』『キャンピングカーが田舎の道を走り回ることに不安がある』

こういった反対の声を乗り越えて実現した車中泊スペースなのだということを利用者は忘れられない。

滞在型観光の問題点

観光地化するほどの魅力がうちにはない

地域財産はそこに住んでいる人は気が付きにくい。いつも見慣れた風景だが、その中にこそ素材は存在するものだ。
すでに存在しているものをコンテンツにすることは、ゼロからそれを作り上げることに比べるとはるかにハードルは低いはずだ。
海のない地域に住んでいる人にとっては、海は憧れになるかもしれない。
自然豊かな山の中に魅力を感じる人たちも多い。なかむらは『里山』と聞くだけで心が躍る。

木曽川水園の水車小屋

山があり、川があるなど、地域の魅力があるにも関わらず、地域共生を謳い文句にしながらすたれていく道の駅が山ほどある。
山と川しかないと考えるか、山と川があると考えるかでは大きな違いがある。

『移動手段と寝るところは持ってきますから、食べるところと、トイレと、入浴施設、買い物できる場所を揃えてください』というのがキャンピングカーユーザーの願い。それらの願いは、すでにある資源で十分提供できるものがあるだろう。

キャンピングカーというネーミングは、日本で作られた造語。先進国のアメリカやヨーロッパではモーターホーム。家が動くという意味。そういった意味で車中泊は究極のインドアなのかもしれない。
キャンピングカーの窓から見る景色が変わるが、車内の空間は変わらない。見慣れない車窓からの景色を眺めながら、手を伸ばし冷蔵庫から冷えたビールを出して飲む。できれば夜食は地元の郷土料理を食べたい。

水没したペンション村

設置後の情報発信の重要性

受け皿を整えても人がこないことにははじまらない。
その後の広報活動が必要だ。発信力あっての継続や経済効果なのだ。いかに情報を発信し、人を呼び込むのかというところが最も重要で大変かもしれない。
隠れた素敵な穴場スポットが、隠れすぎてしまっていては、経済効果どころか廃れておしまいということになってしまう。

しかしありがたいことに、車中泊をする人たちは常に情報を探している。顕在ニーズがそこにあるため、その人たちに届く発信をすればよく、潜在ニーズの掘り起こしを考えなくともターゲット層は十分ある。

そして、呼び込んだ人を次の目的地に運んであげるための、誘導する施策もセットで用意する。呼び込んだ地域で周遊行動をしてもらうための導線の確保。
車中泊するためのスポットと現存する地域資産をどう結び付けるかを考えることは、ごみの問題に頭を悩ますよりも重要だと思う。
また、車中泊という自由な旅スタイルを好む人たちの多くは、発地でプランを立てることなく、着地側で自由に次の行先を選択するスタイルなのだ。

車中泊需要の右肩上がりはやがて平行線になっていく。近い将来、それをどれだけ長続きさせるかというステージに入っていく。その時にどうやって次の世代に残していけるかが重要になる。

道の駅したら

最後に・・・

テントを持たずに車の中でゆったりと過ごす車中泊で、可能な限り快適に過ごしたい。ベッド展開もできることなら避けたい。パソコンが使えるWi-Fi環境があって車中で動画が見れ、寝たいときにそこに寝床がある。これに加えて、近くに温泉施設があったら最強。
わがままに見えるかもしれないが、よくよく見るとたいして贅沢をしたいと言っているわけでもなさそうだ。どちらかと言えばささやかな欲望ですらある。
滞在型観光を誘致するためには、車中泊ができるフィールドの確保、その次に、お金を落としてもらえる仕組みづくりが重要と考えるがどうだろう。
一部の利用者は、当たり前のマナーを当たり前に守るだけで、自分の首を絞めずにすむ。

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